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カスハラとクレームの違い:理解すべき基準と対応を解説

はじめに

「カスハラ」とは「カスタマーハラスメント」の略であり、顧客からの不適切なハラスメント行為を指します。古くから「お客様は神様である」という文化が根付いている日本ですが、近年多発する顧客からの度を越えた要求や迷惑行為などは社会問題になりつつあります。
一方で、クレームは商品やサービスに対する不満を表明する行為を指し、正当な理由に基づき、企業に対して改善を求めるものです。
これらの違いを理解し、適切に対応することで、トラブルの回避や顧客満足度の向上を図ることができます。本記事では、カスハラとクレームの違いについて具体例を交えながら詳しく解説し、それぞれの特徴や対処法、企業が取るべきアプローチについて詳しく説明します。

目次

1.カスハラとは?

カスハラには明確な基準が存在せず、何がカスハラに該当するかは事例や企業によって異なります。具体的な例としては、過剰な要求をする顧客や、担当者に対する侮辱的な言動が挙げられます。たとえば、カスタマーサポートセンターに電話をかけ、長時間にわたって不適切な言葉を使用する行為が含まれます。こうしたカスハラは、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与え、業務の効率を低下させる恐れがあります。

カスハラの定義・類型、企業に与える影響についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【カスハラの定義・類型】カスハラが企業に与える影響とは?

東京都では2025年4月にカスハラ防止を目的とした条例が施行され、また6月には、全ての企業にカスハラ対策を義務付けるという法改正が国会で可決・成立し、2026年中の施行を目指しています。このような動きからも、セクハラ・パワハラ同様に企業の対応が避けられない状況が迫っています。

2.クレームとは?

クレームとは、顧客が商品やサービスに対して不満や問題を申し立てる行為を指します。これは顧客が期待していたサービスや商品がそれに応えられなかった場合に発生することが多いです。クレームは顧客の権利を守るために重要であり、企業にとっても貴重なフィードバックとなります。
クレームにはさまざまな種類があり、具体的には商品不良に対する返品要望や契約に基づかないサービス提供の申し立て、従業員の態度に対する不満などが含まれます。これらのクレームを適切に対応することで、顧客の信頼を獲得し、企業のブランド価値を高めることができます。
クレームが発生する理由は多岐にわたりますが、主な要因には情報不足や誤解、期待の過剰などがあります。企業はこれらの要因を理解し、サービスの向上に努める必要があります。

3.カスハラとクレームの違い

【定義の違い】
カスハラとクレームの違いは、その定義にあります。カスハラは顧客による不適切な行為を指し、クレームは顧客が正当な不満を表明する行為です。カスハラは、個人への攻撃や過剰な要求を伴うことが多く、業務に支障をきたします。一方で、クレームは正当な理由に基づき、企業に対して改善を求めるものです。

【感情と行動の違い】
感情や行動においても両者は異なります。カスハラは顧客のフラストレーションや怒りが従業員に向けられ、クレームは顧客の不満を解消するための手段として冷静に企業に伝えられます。そのため、クレームは企業の改善につながる可能性が高いと言えます。

【対応方法の違い】
対応方法にも明確な違いがあります。カスハラには企業が迅速に対処し、従業員を守るための措置が必要です。対照的に、クレームは顧客の声をしっかりと受け止め、改善につなげるための対応が求められます。これらの違いを理解することで、企業は適切な対策を講じられるでしょう。

  カスハラ クレーム
定義※

不適切な行為
(個人への攻撃や過剰な要求を伴う)

顧客が正当な不満を表明する行為
感情と行動 顧客のフラストレーション・怒りを従業員に向ける

不満を解消するための手段として冷静に企業に伝えられる

対応方法 迅速に対処し、従業員を守る措置をとる 顧客の声をしっかりと受け止め、改善につなげる

※カスハラの判断基準は事例や企業によって異なります。

4.対処法について

【カスハラへの対処法】
<企業における対策>
カスハラに対処するためには、企業としての明確な方針が不可欠です。従業員がカスハラを受けた際には、適切に対応するためのトレーニングが必要です。企業は、従業員にカスハラの具体例やその対処方法を教育し、安心して業務を行える環境を整えるべきです。

<個人としての対処法>
個人としても、カスハラを受けた場合の対処法を把握しておくことが重要です。冷静に状況を把握し、感情的にならないよう努めましょう。必要に応じて上司や同僚に相談し、適切な対応を図ることが肝要です。事実関係を記録しておくことで、後にトラブルが発生した際にも役立ちます。

<ケーススタディ>
ある企業がカスハラ対策を強化した結果、従業員の離職率が低下した事例があります。この企業は、従業員に対するケアを重視し、カスハラ対策を講じることで業務の効率化にも成功しました。このように、企業がカスハラに適切に対処することは、長期的な利益に繋がります。

【クレームへの対処法】
<クレーム対応の重要性>
クレームへの対処法は、顧客の信頼を築くために極めて重要です。企業は、クレーム対応のための明確なマニュアルを整備し、従業員に対する定期的な研修を実施することが求められます。

<クレーム対応の流れ>
クレーム対応の流れは一般的に以下のようになります。
1.顧客の不満をしっかりと聞き取り、理解する。
2.謝罪し、問題に対する解決策を提案する。
この際、顧客の感情に寄り添う姿勢が重要です。場合によっては、上司にエスカレーションすることも考慮すべきです。

<効果的なコミュニケーション>
効果的なコミュニケーションがクレーム対応において重要な役割を果たします。顧客に対して誠実かつ丁寧に接し、信頼関係を築くことができれば、企業に対するロイヤリティが高まります。また、クレーム対応を通じて得たフィードバックをもとに、サービスやプロセスの改善を図ることも企業の成長に繋がります。

5.まとめ

カスハラとクレームの違いを理解することは、顧客サービスの向上において非常に重要です。カスハラは不適切な顧客行為であり、従業員に精神的な負担を与える一方、クレームは正当な不満を表明する手段です。それぞれのケースに対して、企業は適切な対応策を講じる必要があります。カスハラには従業員を守るための明確な方針が求められ、クレームには顧客の信頼を築くための誠実な対応が必要です。
企業がこれらを適切に理解し、対処することで、より良い顧客サービスを提供し、長期的な成長を遂げることができるでしょう。従業員が安心して業務に取り組める環境を整えましょう。

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