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展示会の出展による費用対効果はどれくらい?費用対効果を高める方法とは
展示会に出展すると、出展料やスタッフの人件費のほかにも、さまざまなコストがかかります。コストをかけた分、きちんと成果につながっているのかどうかを判断するためには、費用対効果を算出して見極める必要があります。
本記事では、展示会の費用対効果の計算方法や、費用対効果をより高めるための方法について解説します。
【CONTENTS】
1.費用対効果の計算方法
まずは、費用対効果について詳しく解説します。展示会出展の成果を正確に測るためにも、費用対効果の算出はとても重要です。
費用対効果の検証に使用される指標には以下のようなものがあります。
- PR(認知度への貢献)
- リード数(有効名刺枚数)
- 商談数(アポイント数)
- 受注数
- 利益
費用対効果の計算方法もひとつではないため、以下で紹介します。
投資利益率(ROI)
投資利益率(ROI)とは、投資コストに対してどのくらいの利益を回収できるのかを示す指標です。ROIとは英語の『Return on Investment』の略で、「投資収益率」とも呼ばれます。
ROIが高ければ高いほど、収益が出ていると判断されます。
費用対効果(ROI)の計算方法
【 ROI=利益÷投資額×100 】
<例>
展示会出展による売上600万円、原価300万円、出展に掛かった費用(=投資額)100万円の場合
利益は600万-300万-100万=200万円なので、ROIは「200万円÷100万円×100=200%」となります。
ROIの損益分岐点は0%です。ROIがマイナスの場合、得られた利益よりも投資にかかった費用のほうが大きいことを表します。○○%以上あれば良いというわけでもないため、展示会や施策別に相対評価で判断する方が良いでしょう。
注意点として、ROIの算出には計測時点での利益と投資額を用います。BtoBの場合は、受注にまで時間がかかるケースが多いため、短期目線だと数値が芳しくない可能性が高いです。
ROIは費用対効果の検証としては分かりやすい算出方法ですが、展示会担当者で利益額の把握が難しい場合は以下の手法が適しています。
1件の獲得単価(コスト)
以下の指標を活用し、1件の獲得単価を出して比較する方法です。
- PR(認知度への貢献)
- リード数(有効名刺枚数)
- 商談数(アポイント数)
- 受注数
1件の獲得単価の計算方法
【 1件の獲得単価(コスト)=投資額÷各指標 】
<例>
展示会出展により、リード獲得数:300件、商談数:50件、受注数:10件
出展に掛かった費用(=投資額)100万円の場合
●リード獲得単価 ⇒100万÷300件=3,333円
●商談獲得単価 ⇒100÷50件=20,000円
●受注獲得単価 ⇒100万÷10件=100,000円
上記のような単価を算出し、展示会や施策別に比較する手法です。
ROIよりも計算が簡単なため、施策別で比較しやすいのがメリットです。
各指標の詳細
ここでは、各指標の詳細について解説します。
- PR(認知度への貢献)
定量的な効果測定は難しいですが、チラシやノベルティ、フライヤーなどの配布数から来場者数を推計して自社を認知してくれた人数を計算する方法もあります。
- リード数(有効名刺枚数)
リード数とは、展示会に出展して獲得した見込み顧客の情報数です。具体的には、展示会で獲得した名刺枚数を指標とします。 交換したすべての名刺をカウントするのではなく、リード数をカウントするにあたって、あらかじめ明確なルールを設けておくのがおすすめです。
(例:逆営業目的での名刺交換はカウントしない、競合の情報収集目的での名刺交換はカウントしない など)
- 商談数(アポイント数)
BtoBの展示会では受注までには時間がかかる傾向にあるため、受注の前段階にあたる商談数(アポイント数)は、展示会の出展による費用対効果を測るひとつの指標となります。
- 受注数
受注数は、展示会の費用対効果を測る指標としてもっともわかりやすいものです。
ただし、BtoB商材はリード獲得から受注までに時間がかかる傾向にあるため、すぐに費用対効果を測る場合では、指標としての判断が難しくなります。
2.展示会の出展にかかる費用
費用対効果を算出するときの「投資額」にあたるのは、展示会に出展する場合は「展示会の出展にかかる費用」が該当します。具体的にはどのような費用が該当するのでしょうか。
出展料
展示会に出展するためには、出展料が必要です。具体的には、会場使用料やブーススペースの使用料が該当します。
ブース出展のスペースを「小間(こま)」と呼び、「1小間、2小間」といった使い方をします。展示会にもよりますが、1小間3m×3mで設定されるのが一般的です。
料金相場は1小間3m×3mあたり30〜50万円といわれていますが、展示会の規模や会場内の場所によって変わってきます。
ブースの施工代・装飾代
ブースの施工代や装飾代も、展示会に出展する費用に含まれます。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 壁面や床面の工事費用
- 照明やコンセントの電気工事費用
- ディスプレイや音響機器、什器などの設置費用
料金は、ブースの大きさや種類(システムor木工)、どれだけ装飾にこだわるかによって異なります。
広告費
展示会に出展して、その時に足を運んだ顧客を待つだけでは、期待している効果を望めないでしょう。効果的な集客を狙うためには、広告費や宣伝費をかける必要があります。
たとえば、あらかじめ見込み顧客や既存顧客に対して招待状やDMを送ったり、自社ホームページ内にて展示会出展の告知を行うなどが挙げられます。
ノベルティ・フライヤーなどのコンテンツ代
展示会当日の営業ツールとして、ノベルティやフライヤーなどのコンテンツを制作した費用も、展示会の出展にかかる費用にあたります。
人件費
展示会当日に参加する人件費も、予算に組み込む必要があります。具体的には、以下のような費用が人件費に該当します。
- ブース運営や顧客対応するスタッフ
- ブースを盛り上げるために雇ったコンパニオン
上記の人数に比例して以下の費用も追加でかかってくるでしょう。
- 会場までの交通費
- 宿泊費(数日にわたる場合)
- 展示会専用の衣装代(展示会用に準備する場合)
3.展示会の費用対効果を高めるために
費用対効果を高めるためには、成果(効果)を上げるか、コスト(費用)を抑えるかの2つの方法があります。
したがって、展示会に出展する目的が「商談獲得や受注数(受注額)を増やすこと」の場合、同じコストで商談獲得や受注数といった成果を高めるか、出展にかかるコストを抑えることで費用対効果を高めることができます。
成果向上とコスト削減のために意識すべきポイントを紹介します。
展示会出展計画時にKPIを設定する
展示会に出展する際は、KPIを設定しましょう。以下ではKPIについて解説するとともに具体的にどのように設定するのかも一緒に解説します。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicators)とは、企業や組織の目標達成度を管理する指標です。「重要業績評価指標」とも呼ばれることがあります。
KPIがあれば、目標達成に向けた企業や組織のパフォーマンスの動向を把握できるでしょう。もし、目標から外れてしまった場合は、パフォーマンスの修正・改善が必要です。
今回の展示会におけるKPIを設定する
展示会においては、どの指標にKPIを設定するのか事前に決めておきましょう。指標は出展する目的に応じて変えていくとよいでしょう。
BtoBの展示会ではすぐに受注まで至らないことも多いため、中長期的目線で考える必要があります。受注までの各プロセスでKPIを設定しておくことで、どのプロセスに改善の余地があるのかを判断しやすくなります。
ターゲット層を明確にしたうえで出展する
ブースへの来場者数を増やしたとしても、自社のターゲットとは異なる来場者が多ければ受注につながらない可能性が高くなります。
ターゲット層が明確に決まっていないと、ブースデザインやキャッチ、訴求内容がぶれてしまい、「誰にも刺さらない」「印象に残らない」といった結果になりかねません。
受注につながる顧客と接点をもつためにも、展示会に出展する前にはターゲット層をきちんと決めておきましょう。
当日の運営体制を具体的に計画する
事前に設定したKPIを達成するためにはブースだけでなく、当日の集客(呼び込み)や接客が大きなポイントになります。
たとえば、以下のような内容を具体的に検討すると良いでしょう。
- ブース運営には何人必要なのか
- ブースで足を止めてくれた来場者へどのようにアプローチするのか
- 呼び込みとサービス説明(商談)は同じスタッフが担当するのか、分担するのか
- 来場者が増える時間帯とスタッフの休憩時間を踏まえたシフト組み など
展示会後のアフターフォローを徹底する
展示会が終了した後は、アフターフォローを徹底しましょう。具体的には、ブースへの来場顧客に対してメールや電話などでフォローし、次のステップ(おもに商談)へつなげることです。
展示会に出展することで多くの集客ができても、次のステップにつなげないと意味がありません。情報収集段階や既に競合製品を利用中の見込み度合いが薄い顧客に対しても、継続的にアフターフォローすることで、見込み度合いを高めていける可能性があります。
展示会後のアフターフォローについては、以下で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
>>展示会後のフォロー方法を紹介|フォローの種類や商談獲得のためのポイント
コスト削減や次回も使えるブース作りを心がける
費用対効果を高めるためには利益を高めることも必要ですが、抑えられるコストは抑えていくことも必要です。
たとえばブース設営に関して、自社でディスプレイやパネルを製作したり購入ではなくレンタルを活用するなど、削減できるコストを自社で検討しましょう。次回も使えるようなブース作りを心がけると、ブースの設営にかかる費用も抑えられます。
4.まとめ
本記事では、展示会出展における費用対効果の計算方法や、費用対効果をより高めるためにはどのような方法があるかについて解説しました。
展示会の費用対効果を算出することで、次回の出展に関して修正・改善ができるようになります。費用対効果の分析(=振り返り)は展示会に限らず、販促を推進していく上ですべての施策において重要です。
展示会へ出展しているが効果検証までできていない、初出展で費用対効果の分析の仕方がわからないという担当者さまは、ぜひこの記事の内容を参考に分析してみてください。
