
Column
コラム
【連載SDGs:目標5】「ジェンダー平等を実現しよう」会社の未来になぜ大切なのか
目次
・ジェンダー平等社会は、求められる未来の姿
・ジェンダー平等において、日本は遅れている?
・ジェンダー、ダイバーシティへの取り組みに着手
・組織変革への意欲が企業の未来を支える
ジェンダー平等社会は、求められる未来の姿
SDGsの目標5は、「ジェンダー平等を実現しよう」です。生物学的な性別(sex)に対し、ジェンダー(gender)は社会的・文化的につくられる性別のことを指します。
目標5をより具体的に言うと、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」で、SDGsでは特に女性のエンパワーメントを重視しています。
ターゲットの5.1は「あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する」であり、5.4は「公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、(中略) 世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する」とあります。
つまり、社会、企業、家庭など、あらゆる場所におけるすべての女性・女児に対する、制度や認識・評価など、あらゆるかたちでのジェンダーによる不平等をなくしていこうということです。
このジェンダー不平等が、持続可能な社会の構築にとって大きな妨げになるとの考えが、全世界の共通理解となることが求められているのです。
ジェンダー平等において、日本は遅れている?
2021年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」では、日本の男女平等性は156国中の120位で、突出した男性優位社会であるとの評価を受けました。その一方、国連の「ジェンダー不平等指数」では162国中の24位でしたが、いずれにせよ、日本社会はジェンダー平等においては、決して先進的ではないのは確かでしょう。(※1)
その根底には、日本の社会に残る前時代的な価値観があるのではないかとも言われています。現在、企業や団体で中核を担う50~60代は昭和生まれの男性が多く、彼らはジェンダー不平等性の問題の重要性が理解できず、その意識の低さが、改善に向けた積極的な行動を妨げているのだという見方もあるわけです。
ジェンダー・ダイバーシティへの取り組みに着手
多くの企業において女性の活躍推進をうたうのは、今やごく一般的なことですが、時にはどこか歯車が噛み合っていない様子もうかがわれます。例えば企業につくられた女性活躍推進部署の担当者と面談しても、ほとんどの場合は女性スタッフだけで男性が皆無だったりもします。
理想としてですが、今後、目指すべきなのは女性の活躍推進という段階ではなく、男女の性に制約されず、各人それぞれが活躍できる組織づくりであるべきでしょう。企業においては、ジェンダーギャップをなくすことは、男性もまた、男女の役割をはじめとした固定概念から解放されることになるわけです。もちろん、これはあくまでもジェンダー不平等をなくすということで、性差による特性を無視してやみくもに平等を唱えるものではないのは言うまでもありません。さらにはLGBTQ(※2)の人への対応もあわせて、いわば、ジェンダー・ダイバーシティ(多様性)への取り組みが求められているのです。
組織変革への意欲が企業の未来を支える
とはいえ、今後に向けて、あえて女性リーダーを育成していくことは、ますます重要性をもってくるでしょう。さらに、ウイズコロナにおいては、新しいチャンスも見えてきそうです。SDGsでも、ICTなどの技術を活用することによる女性のエンパワーメントを唱えています(5.b)。
企業においては、採用から給与・待遇、昇進などにおいて、ジェンダー平等がいかに実現されているのかは、企業への評価に今後大きく関わってくるはず。しかし、これだけやれば良いという明確な答えはありません。むしろこの問題からは、決して目を背けずに、チャレンジし続けなければならないということでしょう。実際、この十数年の変化を見るだけでも、わずかな変化が積み重なって、結果的に大きく変化してきている現状がはっきりと見て取れます。
企業において、リーダーは激変する不確定な時代の風を読み、常に自らのアップデートを図らなければならない存在です。組織の変革は、意識の変化と制度の変化などとが相まって、次第に方向付けられ定着していくものであるでしょう。そのかぎりにおいて、リーダーにこそ、変革に向けて自らが変化していく姿勢が求められるのです。
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※1 内閣府 男女共同参画局ホームページ「男女共同参画に関する国際的な指数」より
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html
・世界経済フォーラムが2021年3月、各国における男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」を発表。この指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示す。2021年の日本の総合スコアは0.656で156か国中120位。先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となった。
・「国連開発計画」における「ジェンダー不平等指数」は、「リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)」「エンパワーメント」「労働市場への参加」の3つの側面における達成度の女性と男性の間の不平等を映し出す指標。値は、0(女性男性が完全に平等)~1(すべての側面において、男女の一方が他方より不利な状況に置かれている場合)の間の数字で表される。2020年12月発表のデータでは日本は0.094で162か国中の24位。
※2 LGBTQ+は、性的少数者(セクシャルマイノリティ)を表す言葉のひとつ。
L:女性の同性愛者(レズビアン)、G:男性の同性愛者(ゲイ)
B:同性愛者(バイセクシャル)、T:こころとからだの性の不一致(トランスジェンダー)、Q:こころの性別、恋愛の方向が定まっていない、あるいは変化している途中(クエスチョニング)、そこに、それ以外の性を表す「+(プラス)」を付けた表現として「LGBTQ+」が使われる。
出典 外務省 JAPAN SDGs Action Platform SDGグローバル指標(SDG Indicators)「5: ジェンダー平等を実現しよう」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal5.html
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