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OODAループとは~ 先が見えない市場を制するには、スピーディーな意思決定と行動力が鍵となる


目次

・ある新規プロジェクトチームの話
・自分の計画通りに動かない
・スピーディーで柔軟性のある組織へ
・リーダーは「新しい考え方」を受け入れる準備を
・まとめ
・用語説明「OODAループ」「ホラクラシー組織」「ティール組織」
______________________________
市場の変化が激しい中、「チームメンバーが柔軟に対応できていない」と感じているリーダーは多いのではないでしょうか?その原因は、会社の上層部やリーダーが立てた計画待ち(指示待ち)のチーム体制にあるかもしれません。ある新規プロジェクトの例を見ていきましょう。

とある企業の新規プロジェクトのチームリーダーに抜擢されたAさん。新しい市場開拓に挑戦する当プロジェクトは、会社の期待も大きかった。Aさんは「チームが一丸となって、新プロジェクトを成功させよう」と張り切っていた。いざプロジェクトが始動すると、チームはさまざまな問題に直面し、暗礁に乗り上げてしまいます。
「こんなはずではなかったのに・・・」プロジェクトのためにAさんは、これまでの自分の経験だけでなく、上司や同僚の意見を聞いたり、専門書の熟読やオンラインセミナーに参加したり、綿密なプランを用意していました。プランは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)、いわゆる『PDCAサイクル』を利用していました。しかし、いざ部下たちがプランを実行に移してみると、想定外の問題が次々と発生し、プロジェクトが硬直化。チームの雰囲気も悪くなってしまいました。

「自分の計画通りに動かない」

Aさんはチームメンバーたちへの不満を積もらせていました。ある日、同僚のBさんにチームのことを相談すると「PDCAサイクルではなく、さらに効率良く回すために『OODA(ウーダ)ループ』を使ってみたらどうだろう?」と、Aさんも聞いたことのあるフレームワークを挙げた。その後、OODAループを取り入れたAさんのチームは、次々と発生する問題に対して、現場での断と実行を繰り返すことでスピーディーに解決。チームは活気を取り戻し、新規プロジェクトは大きな成功を収めました。

スピーディーで柔軟性のある組織へ

これまで日本の企業では、トップが決めた方針に従う「トップダウン方式」が主流でした。しかし、「先行きが不確実で、将来の予測が困難な状態」、いわゆるVUCA(ブーカ)時代において、「上司の決断待ちでは間に合わない」ことが多くなってきました。
そういった中、先進的な企業において、柔軟性のある「自律分散型の組織」への転換が始まっています。OODAループもその一つで、「目まぐるしく変化する状況を観察し、自らの考えと行動を柔軟に変化させて、成果へとつなげる」ための「意思決定」フレームワークです。Aさんの事例のような新規プロジェクトをはじめ、新商品のプロモーションや開発など、スピードが求められるビジネスに適しています。

リーダーは「新しい考え方」を受け入れる準備を

OODAループは、意思決定する際、状況判断の精度を高めることに重きをおいた「意思決定の方法」です。OODAループについては、知識だけでなく、すでに導入されているリーダーも多いかと思います。
それでは、アメリカのビジネスシーンで主流になりつつある「ホラクラシー組織」や「ティール組織」という言葉はご存知でしょうか?

ホラクラシー組織は、リーダーや部下といった階級制度が存在しないフラットな関係にあるグループです。グループは、「人」で構成されているのではなく、「役割」で構成されます。例えば、新規プロジェクトを行う場合、「予算をつけるグループ」「プランを立案するグループ」「実行するグループ」「スケジュール管理をするグループ」など、役割ごとのグループ分けを行います。ホラクラシー組織では、各役割に適した人やこなしたい人が配属され、グループごとに決定権が与えられます。つまり、予算をつけるグループの金額には、他の役のグループが評価を述べることはできても、金額の変更を求めることはできません。

一方ティール組織は、メンバー人ひとりの自分の考えや判断に基づいて「意思決定ができる組織」の形態をいいます。ホラクラシー組織との違いは、グループ内で意思決定の調整をする必要がないことです。つまり、一人の社員が「予算をつける」「プランを立案する」「実行する」「スケジュール管理」、さらに「人を雇う」ことも可能となります。
どちらも「自律分散型組織」の新しい考え方です。似ているように思える両組織ですが、「ホラクラシー組織は、ティール組織の一つの形態である」と考えると良いでしょう。

まとめ

当初、Aさんの新規プロジェクトが上手くいかなったのは、OODAループを知りつつも、「活用してみよう」という考えに至らなかったことにあるかもしれません。
現代のビジネスでは、目まぐるしく変化する市場は顧客のニーズ、働き方などへの柔軟な対応が不可欠です。これからのビジネスリーダーはスピーディーな意思決定と行動力を発揮するために、状況に応じて効果的なフレームワークや新しい組織形態を採り入れるなど、過去の成功体験にこだわらない発想でビジネスを展開していくことが求められるでしょう。

▼用語説明

OODAループ

OODAループのはじまりは、アメリカ空軍の戦闘機パイロットであったジョン・ボイド氏が提唱した「意思決定プロセス」です。その特徴は、①Observe(観察)→ ②Orient(方向づけ・仮説構築)→ ③Decide(意思決定)→ ④Act(行動)の4つのプロセスをループ(回す)することにより、「先が見えない戦況の中で、すばやく意思を決定し、行動を起こす速さ」にあります。

ホラクラシー組織

新しい組織管理体制・経営手法の一つ。一般的な会社では、主任→係長→課長→次長→部長といった階級制度によって、上位役職者に決定権があります。
一方ホラクラシー組織では、役割ごとにグループが形成され、メンバーが所属しているグループに決定権があります。意思決定やマネジメントを自律的なグループに分散させることで、各グループが主体的に活動できることを目的としています。メリットとしては、意思決定が早くなること、メンバー一人ひとりの声を反映させやすくなることです。
組織運営には「ホラクラシー憲法」と呼ばれる社内ルールを作成します。この憲法によって組織が運営されるため、メンバーの自由度を確保しつつ、会社が無秩序になることはありません。

ティール組織

ホラクラシー組織と混同されやすいのがティール組織です。「ホラクラシー組織はティール組織の一つの形態である」と理解します。
ティール組織は、社員一人ひとりが「階級的な意思決定構造を持たず、自分の考えや判断に基づいて意思決定ができる裁量を持つ」組織をいいます。ホラクラシー組織では「グループ内での意思決定をまとめる」必要がありますが、ティール組織では「専門性の高い人や影響が出やすい人のアドバイスを参考にして、自らの判断で意思決定」を行います。アドバイスを求められた人は、必ず真摯に対応しなければなりません。ティール組織の実現には、社員同士の信頼と情報の透明性が不可欠となります。


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