業務可視化コラム
KBIの業務可視化サービスには
様々な業務支援に関するノウハウがあります。
コラムではその一部をご紹介しています。
気になる記事がありましたら、
ぜひチェックしてください。
【前編】業務の標準化はどうやって行う?その目的や成功させるポイントを解説
業務の標準化によってワークフローの効率化や品質の安定化を図ることは、利益の向上だけでなく、企業の信頼感を高めることにつながります。一方で、ポイントを押さえていない業務の標準化は、従業員のモチベーション維持や非定型業務への適用などの点で課題が残るでしょう。
この記事では、業務を標準化する目的とメリット・デメリットを踏まえて、標準化の進め方や成功のポイントについて解説します。
業務の標準化とは
業務の標準化とは、すべての社員が同じ成果を出せるように、業務の流れをルール化し、そのやり方に沿って進めていくことです。
たとえば、企業内での基本的な営業フローや申請フローは本来、どの部署も同じはずです。しかし複数拠点(営業所、支店など)を持つ企業において、拠点ごとに異なる運用をしているケースが多く見られます。
複数拠点で異なる運用が行われてしまう背景には、本部の統制が十分でないケースや拠点ごとにでき上がる独自ルールや不要な慣習が生まれることなどが挙げられるでしょう。
このような状況が続くと、異動や新たに入社した社員が業務をスムーズに引き継ぎにくくなります。また、拠点をまたいだコミュニケーションが難しくなり、業務の非効率化を招くおそれがあります。
こうした問題を防ぐために、大きな組織ではとくに部署単位での標準化の必要性は高くなります。
業務の標準化を行う目的

業務の標準化には、主に以下の目的があります。
- 業務品質の均一化と改善
- 業務全体の効率化
- 属人化の防止
それぞれについて、解説します。
業務品質の均一化と改善
業務の標準化とは、業務フローを決めて、誰が担当しても滞りなく進められるようにすることです。標準化された手順が整理されると、もし担当者が変わっても迷わず業務ができ、勝手な判断で進めることもなくなります。その結果、業務品質の均一化を行うことができるでしょう。
業務全体の効率化
標準化を行うと、業務をする当事者同士で話し合い、一番効率の良いと考えられるやり方を決めることができます。その決められた手順を守ることで、無駄な作業が減り、業務がスムーズに進むようになります。
効率化が良くなる方法として「TQC(全社的品質管理)」という考え方があります。TQCとは、組織全体の部門が参画しサービスや製品の品質基準を上げる取り組みです。これにより組織における改善すべきポイントを見つけることができるでしょう。改善すべきポイントを解消することで会社全体の効率化を行うことができます。
属人化の防止
標準化をすれば「この業務はAさんしかできない」といった状態を防ぐことができます。もし、その人が休んだり退職をすると、誰もやり方が分からず業務が止まったり、品質に差が出てしまう可能性があります。そうなると顧客や取引先との信頼関係を失うことになりかねません。
標準化によって、ある程度どの担当者でも同じ品質で業務を進められるようになれば、継続して顧客や取引先との関係を構築することができます。業務を進めるうえで最低限抑えなければならない項目を洗い出し、標準化することが大切です。
業務標準化のメリットとデメリット
業務の標準化を行うメリットは多いですが、同時に考慮すべきデメリットも存在します。デメリットによって企業の利益が損なわれないように、標準化された業務手順の運用方法には柔軟性を持たせる必要があるでしょう。
業務の標準化によるメリット
業務の標準化には、次のようなメリットがあります。
- 部署間の連携がスムーズになる
- DX(デジタル化)が進めやすくなる
- 従業員の負担が軽減される
- 人に依存しない仕組みができる
- 無駄なコストを削減できる
同じ業務フローで進めることで、職場同士の連携がしやすくなります。さらに全社で共通のシステムを導入しやすくなり、DXの推進もスムーズになります。
また、業務の標準化が上手くいけば、負担が特定の人に業務が集中せず、人件費や教育費の削減にもつながります。
業務の標準化によるデメリット
一方、業務の標準化には、以下のようなデメリットがあります。
- 従業員のモチベーションが低下するおそれがある
- マニュアル化された業務以外に対応できなくなる
標準化は個々の従業員の能力・特性を評価しない方向で進められるため、従業員のモチベーションが失われるおそれがあります。他の従業員との違いや適性を認識しにくい点が、従業員のやる気を削いでしまうのです。
また、標準化された業務フローや作業手順では十分に成果を上げられない場合があります。たとえば高度な専門知識や技術が必要な専門職、具体的には医師や弁護士などです。
業務の標準化が求められる業種
業務の標準化が必要かつ効果的なケースは、業種や業務内容によって異なります。標準化がもたらす成果を、業種別に表としてまとめます。
|
業種 |
標準化がもたらす成果 |
|---|---|
|
製造業 |
品質の安定、コスト削減 |
|
物流・倉庫業 |
作業スピード向上、在庫管理の正確性アップ |
|
飲食チェーン |
どこでも同じ味・サービスを提供 |
|
医療・製薬業界 |
ミスを防ぎ、安全性を確保 |
|
金融・会計業界 |
ルール厳守によるリスク管理 |
|
小売業 |
新人教育が簡単、業務がスムーズ |
|
フランチャイズ業 |
ブランド価値の維持 |
|
IT業界(開発・運用) |
バグ削減、開発スピード向上 |
創造性や個別対応が求められる業務については、柔軟な対応が必要です。
業務標準化を進める一般的なステップ
業務の標準化は通常、以下のステップで進めます。
- 業務の洗い出しと分類
- 標準化すべき業務の選定
- 業務フローの最適化
- マニュアルの作成
- PDCAの実行
ここでは、個々のステップについて見てみましょう。
1. 業務の洗い出しと分類
まず業務フローを一覧にまとめ、どの業務がどのように関連しているかを可視化することが大切です。
基本的な方法として業務フローがどのように進んでいるかを整理し、それぞれのプロセスを細かく分けて把握します。さらに似ている業務をグループ化し、大・中・小分類に分けます。
2. 標準化すべき業務の選定
業務の一覧が整ったら、どの業務を優先すべきか選定をしましょう。注意点としてすべての業務を一度に標準化しようとすることは避けましょう。リソース不足や既存業務に混乱をきたすおそれがあるためです。
標準化すべき業務は、影響範囲が広い、定型的な反復作業、複雑な構造になり問題が発生しやすい業務が優先です。あとは従業員の負担軽減が多いものや企業戦略に直結する業務も選定しましょう。
始めは重要度が高く、改善が効果的である業務を優先し、少ないリソースで成果を上げることに注力することをおすすめします。
3. 業務フローの最適化
標準化する業務フローや手順を細かく分析します。現行のフローが目的に適しているか、無駄な作業はないかを確認してください。
例えば、不要な書類や手続きがあれば、廃止をしてより簡素化する必要があります。改善点が見つかれば、有効な改善策を取り入れ業務フローを作り上げます。最適化されたフローは、長期的に信頼性のある基準として活用できるようになります。
4. マニュアルの作成
業務フローが最適化されたら、それに基づいてマニュアルを作成します。
マニュアルは、業務を初めて担当する人が見ても理解できるように、分かりやすく作成することが重要です。最初は完璧を目指さず運用しながら修正を加えていく方法が効果的です。
マニュアルが使われなくなることがないように、日常業務に即した実務的な内容を盛り込むことが大切です。
5. PDCAの実行
業務を標準化し、マニュアルを作成しただけでは完了ではありません。その後、実際にマニュアル通りに運用を始め、問題が生じていないかを確認する必要があります。
標準化した業務が運用される中で、初期段階では様々な問題が発生する可能性が高いため、修正が必要になるでしょう。業務が安定してきたら、マニュアルを再度見直し、改善を繰り返します。
業務標準化は一度で終わるものではなく、継続的にPDCA(計画→実行→チェック→改善)サイクルを回していくことが成功の鍵です。
前編はここまでです。
後編は「業務の標準化がうまくいかない要因」や「業務標準化プロジェクトを推進する際のポイント」を掲載します。
