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コラム
【連載SDGs:目標11】「住み続けられるまちづくりを」から考える企業と地域社会
目次
・「世界で最も住みやすい街」ランキング上位の「大阪」
・レジリエントで持続可能なまちづくりに貢献する
・世界の都市人口の増加と持続可能な居住の実現のために
・技術革新と持続可能性に向けた企業の熱心な取り組み
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「世界で最も住みやすい街」ランキング上位の「大阪」
英国の経済誌「エコノミスト」の調査部門(EIU)が発表する「世界で最も住みやすい街」ランキングにおいて、2021年に、大阪は2位、東京が4位と、日本の2都市が上位に入って注目を集めました。※1
両都市は、ここ数年はトップ10の常連で2021年にさらに順位を上げたわけです。ただ、このときは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、欧米の都市などが評価を下げ、感染者数が少ない国の都市が評価を上げた経緯もありました。翌2022年には、行動制限を早くに脱した都市が評価を取り戻し、逆に日本の2都市は順位を下げました(それでも大阪は豪州のメルボルンと同率10位で、トップ10内に留まりました)。
実際、このような都市に関する順位については、設定基準や世界情勢などによって大きく変動するわけですが、高い評価を受けることは、行政のみならず生活者一人ひとりの日々の営みや活動の積み重ねの結果であり、加えて、そこでは地域に存在する企業が果たす役割も非常に大きいものだと言えそうです。
レジリエントで持続可能なまちづくりに貢献する
国連のデータでは、現在、世界人口の約55%が大小の都市に暮らしており、その傾向は今後さらに進んで、都市化率は2050年までに70%近くに達すると予測されています。※2方で、現在各国の都市では急激な人口増などによるインフラの不備やスラムの形成など、さまざまな問題が生じていて、都市環境の整備が強く求められています。
SDGsでも目標11は、「住み続けられるまちづくりを」であり、その内容は、「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」というものです。レジリエント(resilient)は「強靱」と訳されていますが、むしろ「災害などの被害に耐えられ、被害があってもすぐに復興できる力」を指しており、これは日本においては、特に重要な要素の一つだと言えるでしょう。
世界の都市人口の増加と持続可能な居住の実現のために
SDGs目標11のより具体的な個別のターゲットは非常に多岐にわたります。
国際的な重要課題としては、スラムの改善(11.1)や、交通アクセスなどの整備(11.2)が挙げられており、文化遺産や自然遺産の保護・保全(11.4)も目指されています。
また、災害による死者や被災者の大幅な削減を目指す(11.5)や、大気の質や廃棄物の管理による環境上の悪影響を軽減(11.6)、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、すべての人への緑地や公共スペースの確保(11.7)というように、都市環境の整備やまちづくりにおいては、特に防災・減災などに関しても、レジリエントの意味を踏まえて対応していくことが求められています。
技術革新と持続可能性に向けた企業の熱心な取り組み
都市をはじめとして各地域では、人々は行政や企業などから、モノやサービスの提供を受け、インフラの恩恵を得ていますが、その拡充や更新のための技術革新は社会的に常に求められており、そこでは企業にとって新たな事業展開のチャンスは非常に大きいわけです。
特に現在は、脱炭素社会やGX(グリーントランスフォーメーション)に向けた流れが強まり、今後は都市を中心に社会の隅々にまでその波が及んでいくと予測されています。
これは、経済的にも大変なインパクトを持つもので、現に、規模の大小に関わらず企業経営の方向自体が、持続可能な事業形成と同時に競争力のアップやそれを担っていくべき人材の育成に向けて、急速にシフトしている様子がうかがわれます。
実際、私たちが開催している研修セミナーなどへの関心も非常に高く、SDGsの歴史的背景や世界的視点、あるいはESGなどについての最新の知識や関連法制などについて学びたいという意識が非常に高まってきていることを実感しています。※3
また、こうした流れは、一度その段階を通過したら終わりなのではなくて、むしろ常に更新されていくべき常態のものだと言えるのです。したがって、企業に求められているのはチャレンジし続けていくことであり、加えてそれを可能にするためには、新しい状況に素早く的確に対応していける、見識ある人材を育成していくことこそが最重要の課題だと言えるわけです。
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※1 英国の経済誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が毎年発表する「世界で最も住みやすい街」ランキング “The Global Liveability Index 2021” PDF “The Global Liveability Index 2022” PDF
※2 国際連合広報センター ホームページ 人口構成の変化「都市の未来」
※3 ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものですが、近年、SDGsと同様に企業の持続可能な成長のためには不可欠な考え方だという認識が世界的に広まってきています。その観点は、投資家の間では、特に企業評価の基準としても非常に重要視されてきています。出典
外務省 JAPAN SDGs Action Platform SDGグローバル指標(SDG Indicators)「11. 住み続けられるまちづくりを」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal11.html
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