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  •   ■セルフ・コンパッション■ ー前編ー 困難な時代のリーダーが備えるべきセルフ・コンパッションとは?

  ■セルフ・コンパッション■ ー前編ー 困難な時代のリーダーが備えるべきセルフ・コンパッションとは?

「自分への思いやり」を高めるとストレスに強くなる


なぜ今セルフ・コンパッションなのか?


不確実性が高く、将来の予測が困難な「VUCA」の時代。組織を率いるリーダーたちは重要かつ前例のない決断を日々迫られています。正解がない状況での決断に強いストレスを感じ、たった1つのミスでも自分を責めることでしょう。
そんな時代だからこそ、リーダーシップにおいてセルフ・コンパッションが重要となります。セルフ・コンパッションは直訳すると「自分への思いやり」。挫折や困難に直面して苦しんでいる友人・同僚を思いやるように、自分自身を思いやるという考え方です。米国テキサス大学の心理学者クリスティン・ネフ博士により、英語圏を中心に心理学分野で発展してきました。困難な時代に組織を率いるリーダーにとって、セルフ・コンパッションは今後ますます重要となるスキルなのです。

ストレス反応を軽減する、セルフ・コンパッションのススメ

プレッシャーやストレスなどの脅威にさらされたとき、私たちの身体は生物としてどのように反応するのでしょうか。神経科学では「①戦う」、「②逃げる」、「③固まる」のいずれかのストレス反応が起こることがわかっています。「①戦う」は一見、前向きな反応に思えるかもしれません。しかし精神的・感情的な脅威を感じたとき、私たちは攻撃性を外部ではなく内部に向け、自分を厳しく責める自己批判に転換してしまうのです。

「①戦う」、「②逃げる」、「③固まる」に対し、ネフ博士はそれぞれ「①自分への優しさ」、「②共通の人間らしさの認識」、「③マインドフルネス」を対比させます。

「①自分への優しさ」とは、自分を厳しく責めるのではなく、弱さに寄り添い、抱えている痛みが和らぐよう優しく言葉をかけること。
「②共通の人間らしさの認識」とは、「うまくいかないのは自分だけ」と孤立せずに、人間は誰もが不完全で同じように失敗を経験するのだと認識すること。
「③マインドフルネス」とは、否定的な感情だけで頭をいっぱいにしてしまうのではなく、今この瞬間の感情や感覚に意識を向け、客観的な気づきを得てあるがままに受容することです(図)
この3つの構成要素がセルフ・コンパッションの核であり、困難な現実や課題に建設的に立ち向かうための勇気やモチベーションを育てる土壌となります。

セルフ・コンパッションは「甘え」ではない

急に「自分を思いやれ」と言われても、「それは甘えでは?」と懸念されるかもしれません。そう感じた方こそ、これからセルフ・コンパッションを実践することで自分も周囲もよりよく変化できる可能性があります。周囲から優秀とされてきた人ほど自分を厳しく律し、失敗の理由を他人に求めず、「自分が強くならなければ」とすべてを背負ってしまいがち。リーダーというポジションに立つ人にとって、最も厳しい批判者はおそらく自分自身でしょう。しかし、「甘え」が自分の欠点や失敗から目をそらして向き合わない態度なら、セルフ・コンパッションは逆に欠点も失敗もあるがままに受けとめ、自分を優しくケアし、前向きな次の一歩を踏み出すためのスキルです。リーダーこそがセルフ・コンパッションを必要とし、身につけることで高い効果を得られる人たちなのです。

続く後編では、セルフ・コンパッションが科学的に信頼できるスキルなのか、リーダーがセルフ・コンパッションを高めることで組織全体がどう変わるのか、考えてみましょう。

参考文献
Neff KD. Self-Compassion: An alternative conceptualization of a healthy attitude toward oneself.Self and Identity. 2003; Vol. 2: pp. 85-101. [https://self-compassion.org/wp-content/uploads/publications/SCtheoryarticle.pdf]
岸本早苗.セルフ・コンパッションとマインドフルネス.看護管理.2020;Vol. 30:pp. 970-973.

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